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マンデラ氏 遺産4億円を分配 同志の元夫人「ゼロ」、遺言の真意は…
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南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)撤廃闘争を主導し、昨年(2013年)12月5日に95歳で死去したネルソン・マンデラ元南ア大統領の遺言状の内容が2月3日公表され、4600万ランド(約4億2000万円)に上る遺産の分配先が明らかにされた。注目されたのは、旧白人政権の弾圧でマンデラ氏が27年半に及ぶ刑務所生活を強いられていた間、最前線に立って夫の政治活動を支え、離婚後も強い絆で結ばれていた2番目の妻、ウィニーさん(77)が相続人に含まれていなかったことだ。マンデラ氏の真意はどこにあるのか。
遺言状は執行者の司法副長官がヨハネスブルクで記者会見して明らかにした。マンデラ氏の遺産はヨハネスブルクの自宅や故郷である東ケープ州の邸宅など複数の不動産をはじめ、自著の印税やその他の著作権使用料など。遺言状によると、全体の半分は現在の3番目の妻、グラサ・マシェルさん(68)に相続権があり、残り半分を約30人の他の遺族や元個人秘書らスタッフ、学校、マンデラ氏が議長を務めた与党、アフリカ民族会議(ANC)で分割する。
だが、相続人の中にウィニーさんの名前はなく、マシェルさんも出身国モザンビークにある4つの不動産や美術品、宝石類などを得る代わりに、相続権を放棄する可能性が高いという。
マンデラ氏は生涯で3度結婚した。最初の妻エベリンさんとは1944年結婚。彼女は氏の子供6人のうち4人を産んだが58年に離婚し2004年に亡くなった。
2番目の妻ウィニーさんとは58年~96年まで夫婦生活を営み、98年、現妻で未亡人のマシェルさんと結婚した。マシェルさんはモザンビークの初代大統領サモラ・マシェル氏(在任1975~86年)の未亡人だった。
しかし、英紙
一方、子や孫ら他の遺族はマンデラ家の家長争いや資産分配で既に激しく対立。一部には「マンデラ」という名をワインやアート作品、テレビのリアリティー番組など商業目的に利用するなど、名誉や金に目がくらんだ遺族もいる。
こうした状況を踏まえ、マンデラ氏の友人で遺言執行者のひとり、ジョージ・ベゾス氏は英紙デーリー・テレグラフに「マンデラ氏は個人的な蓄財には興味がなかった。自分を喜ばせたいなら(金をくれるよりも)学校や診療所を建ててほしい、と言ったはずだ」と述べた。
ウィニーさんが相続人に含まれなかったのは、アパルトヘイト撤廃闘争の同志として結ばれていた彼女なら、遺産ゼロの真の意味を理解してくれると思ったからかもしれない。(SANKEI EXPRESS)