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南アの英雄 緑の故郷で安らかに マンデラ氏埋葬式

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南アの英雄 緑の故郷で安らかに マンデラ氏埋葬式

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南アフリカ・東ケープ州クヌ  アパルトヘイト(人種隔離)との闘いに身命をなげうち、12月5日に95歳で死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領の埋葬式が15日、南東部の東ケープ州クヌで営まれた。人種融和を説き、世界中から愛された「英雄」は、生涯をかけ追求した自由への「長い歩み」を終え、豊かな緑が広がる故郷で永遠の眠りについた。

 草原に設けられたドーム形の埋葬式会場では、95本のろうそくとともに笑顔のマンデラ氏の遺影が壇上に掲げられた。南ア国旗に覆われたひつぎがゆっくりと運び込まれると、軍の弔砲が放たれ、厳かな雰囲気の中で国歌が斉唱された。

 一連の国葬行事を締めくくる式典には、チャールズ英皇太子やアフリカの首脳ら約4500人が参列。ロベン島などで長く一緒に収監されたカソラダ氏は、友人代表の弔辞で「自由の闘士。兄だった」と涙ぐんだ。ジェイコブ・ズマ大統領(71)は「失望させない」と述べ、マンデラ氏の遺志を引き継ぎ、人種融和を進めていくことを誓った。

 式典終了後、マンデラ氏の遺体は、遺族ら約450人の立ち会いの下、マンデラ氏が属する地元のコサ民族の伝統に沿って埋葬された。

 生前に希望

 農村地帯クヌは、近くのムベゾ村で生まれたマンデラ氏が子供時代を過ごした場所。マンデラ氏は、既に他界した自身の子供3人と並んで埋葬されることを生前に希望していた。

 会場を見下ろす小高い丘には地元住民らの姿も。ヨハネスブルクから車で12時間かけて夫(56)と娘(26)と来たという白人女性、ルイーズ・アーモンさん(55)は「今日は(マンデラ氏の)家族のための儀式。私たちはここから最後の別れを言います」と笑顔で話した。

 クヌ近くのウムタタに住む黒人の女性教師、ゾドワ・ムディガンさん(40)は「彼の死は受け入れがたいほど悲しいが、われわれの住む故郷に戻ってきたのはうれしい。本人が望む場所で、ゆっくりと眠らせてあげるのは正しいことだ」と語った。

 人種差別を制度化したアパルトヘイト政策と闘ったマンデラ氏は、27年半の獄中生活に屈せず、1990年に釈放され、93年にノーベル平和賞を受賞。94年に黒人初の大統領に就任し、1期5年務めた。(SANKEI EXPRESS

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