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国民に愛され、ともに歩む王室 デンマーク

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国民に愛され、ともに歩む王室 デンマーク

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 【Viva!ヨーロッパ】

 日本が天皇をいただくのと同様に、デンマークも国王(現在はマルグレーテ2世女王)をいただく王国である。デンマーク王室は900年代から続いており、歴史は古く、かつ、国々がひしめき合うヨーロッパにあって国際的である。さらに国民にとってとても身近な存在で、人気が高い。そんな王室を紹介しよう。

 女王がパット!

 昨年(2013年)6月、筆者が暮らすデンマーク・フュン島の町、ボーゲンセを、マルグレーテ2世女王(73)が夫のヘンリック殿下(79)とともに訪れた。十数年ぶりの訪問で、市民は熱狂し、町を挙げての歓待となった。

 町内のさまざまな施設を訪問したり、ゴルフ場のレストハウスで昼食会を開いたりした。スケジュールは市民に公開されており、国旗を振る市民が女王夫妻の姿を見ようと行く先々でむらがった。筆者もご多分に漏れず、ミーハーぶりを発揮。女王がゴルフ場で、笑みをたたえながらも恥ずかしげにボールをパットするのを遠目にシャッターを押したり、広場で市長のスピーチを聴く女王を真後ろに立って見守った。

 ロイヤルファミリーの言動は新聞や雑誌の紙面をしばしばにぎわし、国民の口の端(は)に上る。女王を間近に感じ、デンマーク人が王室を好きな理由が分かった気がした。

 超国際的なファミリー

 島国・日本の皇室とは異なり、昔から他民族・国家との交流が盛んなヨーロッパにあって、デンマークの王室はとても国際的だ。マルグレーテ2世女王の母は、スウェーデン王室から嫁いできた。結婚するまで夫のヘンリック殿下はフランスの外交官、フレデリク皇太子(45)のメアリー妃(41)はオーストラリア人、次男のヨアキム王子(44)のマリー妃(37)はフランス人だった。

 さらに、ヨアキム王子は一度離婚しており、前妻は香港出身のイギリス人。アジア出身者も王室のメンバーだったわけだ。

 日本の皇室では、“国際結婚”“離婚”はあり得るのだろうか…。

 世界で一番古い王国

 デンマークは1849年に憲法が制定されて以降、絶対君主制から立憲君主制となり、国王は現在、日本と同様に実権を持たない「象徴」となっている。

 さらに、西暦900年代から現在まで続く長い歴史を誇る。これを根拠に、デンマーク人は、現在まで続く「世界で一番古い王国」と誇らしげに自慢する。この文言が躍るポスターも存在し、筆者が勤務する国民高等学校にもしばらく貼られていたことがある。

 しかし、日本人ならば少々首をかしげないだろうか? そう、900年代といえば日本では平安時代であり、日本の皇室の方が明らかに古い。実はデンマーク人の多くも日本の皇室が古いことは知っており、その点を指摘すると、「日本は天皇をいただく『帝国』であり、デンマークは国王をいただく『王国』なのさ」とニヤリ。ギャフン、であった。(国民高等学校「日欧文化交流学院」(デンマーク名=ノアフュンス・フォルケホイスコーレ)学院長 銭本隆行、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■世界の君主国 日本が承認している世界の国数は195カ国(日本自身を含む)。そのうち、君主国は50カ国程度。デンマークがある北欧では、スウェーデン、ノルウェー。オーストラリアやカナダもイギリス女王をいただく立憲君主国である。

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