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【Q&A】防空識別圏 国際法規定なし 領空の外に独自設定

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【Q&A】防空識別圏 国際法規定なし 領空の外に独自設定

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 中国政府は11月23日、東シナ海上空に戦闘機の緊急発進(スクランブル)をするかどうかの基準となる防空識別圏を設定した。沖縄県石垣市の尖閣諸島上空を含み日本の識別圏と重なる。日本政府は「全く受け入れられない」と抗議したが、中国側に撤回の意思はない。日中間の対立先鋭化への懸念が高まっている。

 Q 防空識別圏って何

 A スピードが速い航空機による領空侵犯に備え、領空の外側に設定した空域のことだよ。国際法上の規定はなく各国が独自に設けている。日本は1969年に設定したが、実効支配していない島根県・竹島や北方領土上空は含めていない。

 Q 具体的には何をする場所なの

 A 中国は圏内を飛ぶ航空機に飛行計画の提出を求め、命令に従わなければ軍が「防御的な緊急措置を取る」としている。日本は通報なく侵入した国籍不明機が領空に近づいてきた場合などに戦闘機のスクランブルの対象としている。

 Q 中国の狙いは

 A 中国はこれまで識別圏を設定せず、日本の識別圏に強い反発もあった。習近平指導部には軍事力を背景に尖閣諸島を実効支配する日本を威圧すると同時に、対外強硬姿勢をアピールし国内の結束を図る狙いもあるとみられるよ。

 Q 日本の反応は

 A 中国の識別圏を認めず、程永華駐日大使を呼んで撤回を要求した。安倍晋三首相は「力を背景とした現状変更の試みには、わが国の領海、領空を断固として守り抜く決意で対応する」と表明した。

 Q 米国も批判しているね

 A ホワイトハウスや国務省、国防総省が一斉に中国批判の声明を発表し、ケネディ駐日大使も非難した。米国は識別圏設定を同盟国日本への「直接的な挑戦」と受け止め、東アジア全体の安定を揺るがしかねないと深刻にとらえている。

 Q 日中衝突の危険性は

 A 日中両国がスクランブルを掛け合えば、軍事衝突に発展する可能性はある。ただ当面は中国も慎重に対応するとみられ、具体的にどう運用していくのか見極める必要があるね。

 Q 日本の今後の対応は

 A 中国の識別圏には、識別圏が重なる韓国や台湾も懸念や遺憾を表明している。日本は米韓などとも連携して「包囲網」を形成し、中国に自制を求めていく考えだよ。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪日本、ASEANと「中国の空」拡大懸念共有へ≫

 日本政府は、東京で12月中旬に開く日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議で、尖閣諸島周辺を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定した中国を念頭に「空の安全」を主要議題として提起する方針だ。中国が南シナ海上空に新たな識別圏を設定する可能性を踏まえ、ASEAN各国と「中国の空」拡大への懸念共有を目指す。

 ASEAN加盟国のうちフィリピン、ベトナムは南シナ海領有権問題を背景に中国への警戒を強めているが、カンボジアやラオスは中国寄りの姿勢を見せ、立場に隔たりがある。日本が親中派の国々を説得し、海と空の安全保障に関する踏み込んだ文言を日ASEAN特別首脳会議の共同文書に盛り込めるかが焦点だ。

 外交筋によると、政府は防空識別圏を飛ぶ航空機に飛行計画の提出を義務付けた中国の措置について「国際法の一般原則に違反する」と、一部のASEAN諸国に伝達。中国の措置を断固容認しない立場を説明し、理解と協力を求めた。安倍晋三首相は特別首脳会議で「力による現状の一方的変更は許されない」との認識を示し、支持獲得を狙う。(SANKEI EXPRESS

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