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【中国防空識別圏】撤回要求 首相「領海領空を断固守り抜く」

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【中国防空識別圏】撤回要求 首相「領海領空を断固守り抜く」

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参院決算委員会で中国の防空識別圏についての質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相=2013年11月25日、国会(酒巻俊介撮影)  安倍晋三首相(59)は11月25日の参院決算委員会で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の上空に防空識別圏を設定したことについて「わが国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示をしており、全く受け入れることはできない」と述べ、撤回を要求した。しかし中国側は拒否する方針を明らかにしており、日中関係は昨年末の第2次安倍政権発足以来最も緊張した状況となった。政府関係者は、懸案の日中首脳会談の年内開催は事実上不可能となったとの見方を示した。

 首相は決算委で防空識別圏の設定について「現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねず非常に危険だ」と強い懸念を表明。中国の識別圏設定は日本に効力を持たないと指摘した上で「中国による力を背景とした現状変更の試みには、わが国の領海領空を断固として守り抜く決意で対応する」と述べた。

 岸田文雄外相(56)は25日、キャロライン・ケネディ米駐日大使(55)と電話で対応を協議。ケネディ氏は「中国の一方的行為に対する日本の迅速な対応を称賛する」と述べた。小野寺五典(いつのり)防衛相(53)は25日の参院国家安全保障特別委員会で、中国による領空侵犯が発生した場合は「国際法、自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施したい」と述べた。

 これを受け、斎木昭隆外務次官(61)は25日、外務省に程永華駐日中国大使(59)を呼んで抗議するとともに、防空識別圏設定の撤回を要求。しかし程氏は「むしろ日本側の理にかなわない要求を撤回すべきだ」と拒否した。

 程氏は面会後、記者団に「(識別圏設定は)国際的に新しいものではなく、特定の国に対するものでない」と強調した。

 日中関係は、(11月)19日に日中経済協会による大規模な訪中団(団長・張富士夫トヨタ自動車名誉会長)が北京で汪洋(おう・よう)副首相(58)と面会するなど、雪解けムードも漂っていただけに、日本側の落胆は大きい。政府関係者は「政治レベルでは対立関係を続けるとの強い意志と考えざるを得ず、早期の首脳会談は難しくなった」と述べた。(SANKEI EXPRESS

 ≪「中国の決意みくびるな」 日米に警告≫

 中国が尖閣諸島上空に防空識別圏を設定した問題に関連し、中国外務省の秦剛報道官は11月25日の定例記者会見で「他の防空識別圏についても適宜発表していく」と述べ、南シナ海などでも設定作業を進めていることを示唆した。

 秦氏は防空識別圏設定への日本の反発について、中国外務省幹部が木寺(きてら)昌人駐中国大使(61)を呼び「理不尽に騒ぎ立てていることに対する強い不満と厳重な抗議を申し入れた」と説明。また、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の固有の領土」との主張を繰り返した。

 中国政府は25日、日米両政府の抗議や懸念表明に「何らの道理もなく、全く受け入れることはできない」(楊宇軍・中国国防省報道官)と拒絶。同様の反論を外交ルートを通じて日米双方に伝えるなど、強硬姿勢を強めている。

 25日の国営新華社通信によると、楊報道官は、日本側の防空識別圏設定が1960年代末にさかのぼることを理由に「中国の防空識別圏設定にあれこれ言う権利は日本側にない」と指摘。東シナ海上空での中国軍機の「正常な訓練や巡回飛行」に対し、空自機の監視行動を「航行の自由を妨げ事故を招きかねない」と非難した。

 一方、米国の懸念表明には、「米国がこの問題で不当な言動を控え、日本の冒険的性質を助長する誤ったシグナルを送らないよう望む」と語った。

 さらに、11月25日付の中国軍機関紙、解放軍報は、1面の署名論評で、中国よりも先に防空識別圏を設定した日本が中国を批判することは「二重基準だ」と批判。「中国の人民と軍隊が、国家の主権と安全、地域の平穏を守る決意を見くびるな」として、日本に激しく警告した。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪航空2社と台湾 飛行計画を通知≫

 台湾交通部(交通省)当局者は11月25日、中国の東シナ海上空への防空識別圏設定を受け、台湾を出発後に識別圏内を通過して日本や韓国などに向かう民間機(1日約100便)の飛行計画を中国当局に通知し始めたことを明らかにした。日本の全日本空輸と日本航空も25日、防空識別圏を通過する台湾行きなどの航空機の運航について、中国当局に飛行計画の通知を始めたことを明らかにした。一方、韓国国防省報道官は25日、中国が設定した防空識別圏が中韓両国がともに排他的経済水域(EEZ)内にあると主張している海中岩礁、離於島(中国名・蘇岩礁)の上空域を含めていることを非難。韓国機が離於島上空を通過する際、中国側に通知しないと言明した。(SANKEI EXPRESS

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