SankeiBiz for mobile

映画は「生きる悲しみ」を希望に変えられる 文化勲章 高倉健さんら5氏

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

映画は「生きる悲しみ」を希望に変えられる 文化勲章 高倉健さんら5氏

更新

 政府は10月25日、2013年度の文化勲章を俳優の高倉健(82)、日本文学・比較文学の中西進(84)、医化学・分子免疫学の本庶佑(71)、電子工学の岩崎俊一(87)、書家の高木聖鶴(90)の5氏に贈ることを決めた。

 205本に出演

 高倉さんは、1977年公開の「幸福の黄色いハンカチ」や2012年の「あなたへ」など、1956年に映画「電光空手打ち」でデビューして以来、205本の映画に出演し、日本映画界を牽引(けんいん)。また、中国の新聞が「近代中国に影響を与えた外国人50人」の一人に選ぶなど、国際的にも活躍してきた。寡黙で剛直、ユーモアもたたえた個性で多くの映画に主演したことが評価されての受章。俳優では、これまでに、1991年度に森繁久彌さん(1913年~2009年)、2005年度に森光子さん(1920年~2012年)らが受章している。

 高倉さんは受章会見を開かず、コメントを発表した。出身地の福岡県の方言を使ったり、ハリウッド映画「ブラック・レイン」、日中合作映画「単騎、千里を走る。」での経験をふまえたと思われるコメントは、映画ひとすじのこれまでの生きざま、これからの映画作りへの意欲を感じさせる。

 最近の高倉さんは、同じ明治大学出身の星野仙一監督(66)が率いる楽天の日本シリーズでの活躍を楽しみにしているという。

 同じく文化勲章受章者の中西氏は万葉集の研究に功績を残した。本庶氏は免疫応答の解明に関する研究で優れた業績を挙げた。岩崎氏は磁気記録方式の高密度化の研究を進め、メタルテープを発明。高木氏は日本を代表する「かな」書家として活躍した。

 功労者は15人

 文化功労者には比較認知科学の松沢哲郎(63)、日本画家の上村淳之(80)、短歌の岡野弘彦(89)の3氏ら15人を選んだ。松沢氏はヒトと最も近縁なチンパンジーの暮らしと心の世界を明らかにした。上村氏は鳥を飼育しながら日本画を描き、花鳥画家として活躍。岡野氏は歌人として第一線で活躍し、戦後短歌史に大きな足跡を残した。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は11月5日に東京都内のホテルで開かれる。

 ≪高倉さんコメント 「辛抱ばい」胸に58年≫

 映画俳優として58年、205本の映画に出演させていただきました。

 大学卒業後、生きるために出会った職業でしたが、俳優養成所では「他の人の邪魔になるから見学していてください」と言われる落ちこぼれでした。それでも「辛抱ばい」という母からの言葉を胸に、国内外の多くの監督から刺激を受け、それぞれの役の人物の生きざまを通して社会を知り世界を見ました。

 映画は国境を越え言葉を越えて、“生きる悲しみ”を希望や勇気に変えることができる力を秘めていることを知りました。

 今後も、この国に生まれて良かったと思える人物像を演じられるよう、人生を愛する心、感動する心を養い続けたいと思います。

 映画俳優・高倉健を支えてくださった多くの方々に、深謝申し上げます。どうもありがとうございました。(SANKEI EXPRESS

ランキング