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デフォルト秒読み、米機能不全 債務上限引き上げ…協議平行線

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デフォルト秒読み、米機能不全 債務上限引き上げ…協議平行線

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 米上院は10月13日、連邦債務の上限引き上げと政府機関の一部閉鎖の解除をめぐり協議を続行したが、与野党の溝は埋まらず結論は出なかった。債務上限引き上げの期限とされる17日が迫る中、米国債の債務不履行(デフォルト)回避に向けたぎりぎりの調整が続いている。

 上院の与党民主党のリード院内総務と共和党のマコネル院内総務は13日意見交換し、事態打開の方策を探った。マコネル氏は終了後、政府機関の閉鎖解除とデフォルト回避の実現へ「民主党が答えを出す時だ」とする声明を発表。合意を得られる見通しは立っていない。

 オバマ大統領は13日、ホワイトハウス高官から政府機関の閉鎖の影響に関し報告を受けた。下院民主党のペロシ院内総務とは電話で会談し、1年間分の債務上限引き上げなどを目指すペロシ氏の努力に謝意を伝えた。

 上院共和党は6カ月間の暫定予算案などを提案する一方で、オバマ政権の目玉政策である医療保険制度改革の修正を主張している。下院ではこれまで、共和党側が債務上限を6週間分だけ引き上げるなどの譲歩案を出したが、大統領は拒否した。このため、共和党が多数を占める下院での調整は暗礁に乗り上げ、12日から協議の舞台は上院に移っている。

 米メディアによると、ホワイトハウス周辺に13日、退役軍人ら数百人が集まり、政府機関の一部閉鎖に抗議した。結論を出せない政治に対する国民の不満が表面化した格好で、米国の政治不信は深刻さを増している。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪「自由の女神」再開 州が運営経費肩代わり≫

 米政府機関の一部閉鎖に伴い10月1日から中断していたニューヨークの観光名所、自由の女神像の一般公開が13日、再開した。運営経費を肩代わりしたニューヨーク州のクオモ知事は「米国はもちろん、世界にとっても自由と民主主義の象徴だ」と再開の意義を強調した。米メディアが伝えた。

 像がそびえるリバティー島をフェリーで訪れた観光客らからは「閉まっていると思ったが、せめて(遠景を)見られたらと思って来た」(サウジアラビア人留学生)と喜びの声が相次いだ。

 国立公園局によると、2011年には約370万人が像を訪れ、経済効果は2億ドル(約200億円)。人件費など、1日当たりの像公開の運営経費は6万ドルに上るが、クオモ知事は記者会見で「われわれが失う(観光収入の)額とは比較にならない」と語り、負担への理解を求めた。

 リバティー島で土産物店とレストランを経営するブラッドフォード・ヒルさんは「首都ワシントンの(予算をめぐる)停滞に終わりが見えない中、州が肩代わりしてくれて心強いよ」と話した。

 西部アリゾナ州の観光名所、グランドキャニオン国立公園も同様に閉鎖されていたが、12日に地元州の経費負担で観光が再開した。

 自由の女神像は米国の独立100周年を記念してフランスから贈られ、1886年に完成した。(共同/SANKEI EXPRESS

 米債務上限の引き上げ

 国債発行や借入金など米連邦政府が借金できる金額には上限が定められている。現在は約16兆7000億ドル(約1620兆円)。法定分を超えて債務を負うことはできず、議会が上限の引き上げをめぐり議論している。

10月17日までに認められないと財務省の資金繰りが困難になるとされ、米国債は債務不履行(デフォルト)に陥る恐れがあるが、引き上げのめどは立っていない。(共同)

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