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米政府閉鎖に国民の怒り爆発 ガン治療、結婚式中止「いいかげんにしろ!」

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米政府閉鎖に国民の怒り爆発 ガン治療、結婚式中止「いいかげんにしろ!」

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 政治対立による米政府機関の一部閉鎖が市民生活を直撃し、「いいかげんにしろ!」と、国民の怒りが爆発している。

 影響は広範囲に及び、国立公園内で結婚式を挙げる予定だった多数のカップルが閉鎖で中止を余儀なくされ、幸せを奪われた。

 アフガニスタンで戦死した兵士の遺族への弔慰金の支払いもストップ。臨床試験での抗がん剤の投与まで停止され、1歳半の幼い子供を持つ母親は「がんと闘う私を助けてほしい」と、悲痛な叫びを上げている。

 無慈悲な仕打ち

 「無力感と失望感を感じているわ。ヨセミテで結婚式を挙げるという幼い頃からの夢が打ち砕かれたのよ」

 米カリフォルニア州サンディエゴに住むダナ・ジョンソンさんは、米ABCニュースで怒りをぶちまけた。

 婚約者のブライアン・アダムスさんと、ロッククライミングで有名なヨセミテ国立公園にある「グレイシャー・ポイント」の頂上で10月4日に挙式する予定だった。

 ところが公園内にある披露宴会場のホテルが閉鎖された。「私たちもゲストも外に連れ出されたわ。この日のために5000ドル(約48万9000円)も払ったのに」と、ダナさん。

 米メディアによると、スミソニアン博物館があるワシントンの国立公園ナショナル・モールでは約30組の結婚式がキャンセルされたほか、グランドキャニオンなど有名な国立公園で挙式を予定していた全世界の数百組のカップルが途方に暮れているという。

 議会の与野党対立で暫定予算が成立せず、政府機関の一部閉鎖が始まった今月(10月)1日以降も、米軍の兵士たちは世界各地で危険な任務を遂行しており、アフガニスタンなどで26人が戦死した。

 ところが、葬儀費用や遺族の当面の生活費などに充てるための約10万ドルの弔慰金の支払い業務も停止している。

 「愛する人を失う悲しみやショックに加え、こうした課題に直面する遺族がいることを知り、心が痛む」と、戦死者遺族をサポートする民間団体の代表は、政府の無慈悲を激しく非難した。これを受け、国防総省は民間団体に肩代わりしてもらうことで、何とか支給を再開することを決めた。

 議員のジムは継続

 人の命にかかわりかねない事態も起きている。国立衛生研究所の業務停止の影響で、新しい治療薬の臨床試験がストップしているのだ。

 カリフォルニア州オーバーンの病院に入院している主婦、ミシェル・ランベーンさん(30)は、ロイター通信に、抗がん剤の投与を受けられなくなった窮状を訴えた。

 「私は、娘がママなしで育つことを拒絶します。一日も早く閉鎖をやめてほしい」。子供を含む200人が毎週、臨床試験を受けているといい、再開を求める嘆願運動も起きている。

 米国で停止されているのは、「不可欠ではない」と判断された行政サービスだ。しかし、臨床試験が停止する一方、連邦議会で不毛な対立を続ける与野党の議員が利用するスポーツジムは、「不可欠」と判断されて継続しているという。

 米世論調査会社ギャラップによると、議会に対する支持率は史上最低水準の11%まで低下しているが、ジムのサウナで汗を流す議員たちに国民の怒りはまったく届いていないようだ。(SANKEI EXPRESS

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