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「銃お断り」スタバの決断 規制強化派と反対派、店内対立で混乱

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「銃お断り」スタバの決断 規制強化派と反対派、店内対立で混乱

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 米コーヒーチェーンのスターバックスが9月19日までに、お客に銃器を店内に持ち込まないよう要請する声明を出した。

 これまで銃を公然と見せて持ち歩ける「オープンキャリー法」がある州では持ち込みを認めてきたが、方針を転換した。銃規制強化をめぐり賛成派と反対派の対立が激化するなか、スタバへの持ち込みがその象徴的存在となり、両派がそれぞれ店内で活動を行うなど混乱に巻き込まれたためだ。「賛成派でも反対派でもない」と中立を強調するが、反対派の来店拒否や抗議活動にさらされるのは避けられず、苦渋の決断だった。

 店舗閉鎖も

 「これはお願いであって、禁止ではありません。責任ある銃器の所有者にわれわれの要望を尊重してほしいのです」

 スタバのハワード・シュルツCEOは、AP通信など米メディアの取材に応じ、自粛要請への理解を求めた。スタバは18日に自社サイトで書簡を公開し、19日付の米主要紙にも全面広告を出した。

 全米で約7000店舗を展開するスタバは、オープンキャリー法がある州では、「法に準ずる対応に努めてきた」。この法律は全米50州のうちアリゾナやバージニアなど12州で成立し、ほぼ同じ法律が16州にある。

 相次ぐ銃乱射事件を受けた規制強化をめぐり国論が二分するなか、一部の規制反対派が銃を腰にぶら下げてスタバ店内に集まり、銃所持の権利擁護を求めるイベント「スターバックスに感謝をささげる日」を開催。これに対し、規制賛成派が店内で抗議活動を行うなど、混乱が出ていた。イベントが企画されていた店舗の閉鎖も余儀なくされたという。

 中立を強調

 シュルツ氏は「店内がプロの銃規制反対活動家によるPR集会の舞台と化しており、店員や顧客が不利益を被っている」と批判。「店舗はすべての利用者が快適に一息つけるために存在している」と訴えた。

 一方で、「銃規制論争は政治の場で行うべきで、われわれの店内で行うべきものではない」と、中立を強調し対立から一線を画す姿勢も示した。

 スタバの決断に対し、インディアナ州で母親の立場から規制強化を訴えてきた市民団体のシャノン・ワッツさんはワシントン・ポスト紙に、「米国ビジネスの象徴であるスタバの自粛措置は、銃に寛大な米国文化を変えるきっかけになるだろう」と語り、歓迎した。

 だが、反対派も黙ってはいない。スタバに集まる銃愛好家でバージニア州在住のエド・レビーンさんはポスト紙で、「スタバは反対派と賛成派の闘いの場としての役割を担っていた。

 個人的には今回の決定は尊重するが、私も他の拳銃マニアもスタバに行かなくなるだろう」と、うそぶいた。

 相次ぐ乱射事件

 米国では(9月)16日にも首都ワシントンの海軍施設で13人が死亡する乱射事件が起きたばかり。

 今年4月に議会上院で否決された銃規制強化法案の再審議を求める声も出ているが、成立のメドはまったく立っていない。

 シュルツ氏は、自粛要請と今回の事件は関係ないとする一方で、こう語った。

 「多くの顧客を失うことになるだろうが、これが最善の決断だと思っている」(SANKEI EXPRESS

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