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映画「人類資金」 今まで見たことがない佐藤浩市がここに
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日本を代表する人気俳優だが、その対価として得られるお金に対し、佐藤浩市(52)はあまり執着がないそうだ。「結局、芸事をやっている人間は、どこか『俺は金銭がほしいから仕事をやっているわけじゃないよ』というのがある。経済観念は(役者以外の人より)欠落しているかもしれませんね」
そんな佐藤が、公開中の新作サスペンス「人類資金」(阪本順治監督)で世界を股にかけて暗躍する希代の詐欺師にふんし、生き馬の目を抜くようなマネー戦争の渦中に飛び込んだ。
M資金詐欺を繰り返してきた真舟雄一(佐藤)の前に、石優樹と名乗る男(森山未來)が現れ、とある財団への同行を求めた。後日、石と財団を訪ねた真舟は謎の男M(香取慎吾)から「10兆円のM資金を盗み出してほしい。報酬は50億円」と依頼され…。
福井晴敏(44)の小説をベースに、阪本監督が福井と共同で脚本を執筆した。次第にマネーゲームに嫌気が差してきた真舟が、正義感にも似た感情を芽生えさせていくのが面白い。
だが、当の佐藤は戸惑ったという。「犯罪者は犯罪者。世の中に対してかなり斜に構えた人間ではないかと。僕はうまく整合性がとれずにいたんですよ」
佐藤は、何度もコンビを組み、阿吽(あうん)の呼吸で仕事をこなしてきた阪本監督に確認の意味で提案してみた。「詐欺行為に励む真舟と、あるべき人間としての真舟とを乖離(かいり)させてもいいか-とね。もっと愛嬌(あいきょう)のある人間にしようと考えました」
それにしても、どんな役でも難なくこなすものだ。佐藤は出演を打診される際、「実はこんな役なんですけど…」と恐る恐る言われることが無上の喜びだという。「見たことがない佐藤を見せられたら、うれしいな」(高橋天地)