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イオン、オーガニック拡充 厳しい基準クリア、日用品や衣料品も充実へ

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イオン、オーガニック拡充 厳しい基準クリア、日用品や衣料品も充実へ

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イオンのPB「『トップバリュグリーンアイ』オーガニックシリーズ」。有機食品120品目を全国4000店舗で売り出した(同社提供)  流通大手イオンは今月7日から、環境や健康に配慮した有機食品のプライベートブランド(PB、自主企画)の新シリーズ「『トップバリュ グリーンアイ』オーガニックシリーズ」120品目の販売を全国4000店舗で始めた。日米欧の厳しい基準をクリアして有機認証を受けた食品を手ごろな価格で消費者に提供する。2015年2月期の売り上げは100億円を計画。ラインアップの拡充などを通じ、16年2月期に200億円まで倍増させる。

 イオンは1993年から、「自然環境への配慮」「安全・安心」をテーマにしたシリーズ「トップバリュ グリーンアイ」を展開してきた。今回は、新たに開発した58品目を加え、新シリーズとして売り出す。これまで農産物が中心だったが、今回は包装を一新し、加工品も手がける。

 国内で仕入れるだけでなく、米国やスペインなど海外の工場にも生産を委託する。いずれも農薬や化学肥料を使わず、太陽や水、土壌といった自然の力を使う有機栽培を徹底。商品は、日本農林規格(JAS)法に基づく有機認証や米農務省(USDA)の認証、欧州連合(EU)の規格にもとづく認証のいずれかを受け、国際的に厳しい基準を満たしているという“お墨付き”を得る。

 イオンの柴田英二執行役グループ商品最高責任者は「こうして作られた有機農産物や有機畜産物、加工食品は多様な生態系や環境の保全に役立つ」と強調する。化学的に合成された保存料や着色料を使っていないので、消費者の健康志向にもかなっている。

 イオンは国内の大手小売りとして初めて、農水省から、有機農産物を使った加工食品を輸入できる「認定輸入業者」の資格を取得した。これにより、「生産コストを抑え、消費者へ手ごろの価格で提供できるようになった」(同)という。

 具体的には、資格を持っていることで日本の「有機JAS」のロゴのパッケージなどへの印刷を海外の工場でできるようになる。資格がなければ海外では印刷できず、商品をいったん日本国内へ輸入してから、シールを貼るなどしなければならない。イオンによると「一般的に、国内でシール1枚を貼ると関連作業も含め15~30円のコストがかかる」。海外で印刷できるようになると、それだけコストが下がり、販売価格を安くできるという。

 メニューをみると、「ドレッシング オリーブオイル・バルサミコ酢」(236ミリリットル、税込み494円)は米国で生産し有機JAS認証を受けている。日本人に合わせて、容器をコンパクトにするなどの工夫をした。

 中国・福建省の有機茶葉を100%使用した黒ウーロン茶(500ミリリットル、128円)、欧州産の有機デュラム小麦を使い、南イタリアで作ったスパゲティ(500グラム、213円)などメニューは多種多様。キャンディーやシリアル、みそ、酢もある。

 イオンによると、オーガニック食品の国内の市場規模は1300億円。米国の3兆2000億円、ドイツの1兆円、フランスの5700億円と比べると、まだまだ小さい。「日本の消費者のニーズは大きい」(イオントップバリュの仲谷正員常務)とみて、今後は日用品や衣料品も充実させる方針だ。

 消費税増税による個人消費の回復遅れなどで、スーパーには厳しい風が吹いている。イオンはPBの品ぞろえを充実させ、消費者にアピールする手段の一つとして「環境」「健康」をキーワードにする考えだ。(山口暢彦)

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