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ローソン、成城石井は“ダイヤの原石”「磨けば資産価値10倍に」

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ローソン、成城石井は“ダイヤの原石”「磨けば資産価値10倍に」

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成城石井の買収を発表するローソンの宮崎純常務執行役員(左)=30日、東京都千代田区  コンビニエンスストア大手のローソンは30日、高級スーパーを展開する「成城石井」を三菱商事系の投資ファンド、丸の内キャピタル(東京)から買収すると発表した。ローソンとしては過去最大の買収案件で、負債を含めた買収額は550億円程度。10月31日に完了する。

 成城石井は首都圏と中京、関西の都市部に約120店舗を展開。ワインや輸入食材、自社開発の食材などを扱い、高級感と独自性のある弁当や総菜などの商品をそろえ、小売業としては高い営業利益率を誇る。

 このためローソンは買収後も現経営体制を維持し、成城石井のブランドを活用。物流や店舗開発、顧客のデータ分析など「後方の領域」(宮崎純常務執行役員)でローソンがノウハウを提供し、成城石井の収益力をさらに向上を図る考えだ。

 成城石井を傘下に収めることで、ローソンの成長戦略はバリエーションが広がった。小売業が「富裕層が多い都市部でブランド力を持つ業態の強化」(イオン首脳)という課題を抱える中で、その代表格といえるブランドを手に入れたからだ。「成城石井はダイヤの原石。われわれが磨けば資産価値は10倍にもなる」(ローソン首脳)

 賞与の増加や賃金のベースアップが中小企業よりも大きい大企業が集中する都市部と、地方の購買力格差は大きく広がっている。このため都市部では「値ごろ感は必要だが、価値のあるものを求める消費者が増え、購入商品の価格帯が上がっている」(大手コンビニ幹部)。

 コンビニ業界では、首位のセブン-イレブン・ジャパンがハイペースな出店攻勢を続けており、2位のローソンは規模の拡大だけでは対抗できない。そこで、音楽CD販売のHMVジャパンやシネマコンプレックスのユナイテッド・シネマなど、一見コンビニとの関連性が薄い事業も手中にし、消費の多様化への対応を急いできた。(平尾孝)

 ■ローソンの主な出資・事業買収案件

 2007年 3月 九九プラス(低価格の生鮮コンビニ)

   10年12月 HMVジャパン(音楽CD・DVD販売)

   12年 8月 クオール(調剤薬局チェーン)

   14年 8月 ユナイテッド・シネマ(シネマコンプレックス運営)

   14年10月 成城石井(高級スーパー)

 ※社名は当時

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