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パナソニックなど国産PCの奮闘続く “日本製”が生き残る道とは

ニュースカテゴリ:企業の電機

パナソニックなど国産PCの奮闘続く “日本製”が生き残る道とは

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ノートパソコンを生産するパナソニック神戸工場=11日、神戸市西  パソコン(PC)業界で、国内での「ものづくり」の奮闘が続いている。安価な新興国製PCやタブレット端末、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及に対抗するため、高品質、高性能製品に的を絞っている。各社とも価格競争とは違う土俵で戦い、勝ち残りを目指す。

 神戸市西区にあるパナソニック神戸工場は、ノートPCの主力製品「レッツノート」を生産している。同社は「顧客ニーズをいち早く製品に反映する」ため、生産拠点と設計・開発部門、営業部門を国内に集約した。同工場にはコールセンターや修理部門もある。

 同社の狙いが端的に表れているのが「一品一様」と呼ぶ多品種少量生産だ。顧客ごとに仕様変更(カスタマイズ)したノートPCの生産は、1カ月あたり数百種類に及ぶ。売り上げが堅調な法人向けについては、カスタマイズ率を現在の3割ほどから平成27年度には約7割まで引き上げる予定だ。

 細かなサービスに乗り出した背景には、国内PC市場の低迷に対する危機感がある。業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)によると、24年度の出荷台数は前年度比1・1%減の1115万2000台。出荷額は7952億円で、落ち込み幅は出荷台数より大きい8・3%と価格下落は鮮明だ。

 パナソニックの原田秀昭ITプロダクツ事業部長は、「たゆまざる技術革新しか、メイド・イン・ジャパンが生き残っていく道はない。サービスと一品一様の生産体制によって価値を届ける」と話す。

 富士通も「高品質、高性能にこだわった」機種は島根県と福島県で生産しているだ。格安モデルを委託しているアジアの工場では生産ラインに約120人が並ぶが、国内工場では自動化を進め、ラインの人員はそれぞれ16人ほど。調達部材を共通化するなどし「購買や加工費で為替に左右されない工場」(担当者)に進化しているという。

 ソニーは、ノートPC「VAIO」シリーズの一部を長野県で生産。「日本の高い技術力と国内の設計部門を一体化することで、国内でしか量産できないモデルを生み出す」という。

 各社とも、今年の夏モデルは高機能型が中心。投入機種を増やすより利幅の大きいモデルの販売を強化することで、収益改善を目指している。

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