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パソコン市場縮小、販売戦略見直しの動き 高機能モデルに注力
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軽さや性能の高さを打ち出すソニーの夏モデルパソコン=10日、東京都中央区 市場の縮小を背景にパソコンメーカー各社は、販売戦略を見直す動きが目立っている。
夏のボーナス商戦に向けたモデルで、ソニーや富士通は高機能パソコンの販売に注力し収益の改善を図るほか、東芝などはタブレット端末としても使える利便性をアピールし需要を呼び戻す。円安により一部メーカーで値上がりの動きもあるパソコン市場で、収益確保に挑む各社の競争が熱を帯びている。
ソニーはノートパソコン「VAIO(バイオ)」で3シリーズ6機種(想定価格15万円前後~19万円前後)を22日から発売する。投入する新機種は昨年夏と比べ標準モデルを中心に大幅に削減。最新の半導体を搭載し、軽さや薄さなどに特徴のある高機能モデルに経営資源を集中させる。
個人向けパソコンの「FMV」3シリーズ4機種(想定価格13万円前後~26万円前後)を発売した富士通。17機種を投入した昨夏から、高微細な「IGZO(イグゾー)」パネルを搭載するなど高機能モデルに新製品を絞り込んだ。
富士通、ソニーは2012年度のパソコン事業が赤字に陥っており、13年度の販売目標も前年度から引き下げる。利幅の大きい高機能モデルの販売強化により収益改善を目指す。
調査会社IDCジャパンによると、12年の国内パソコン出荷台数は前年比0.6%減の1558万台と縮小傾向にある。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末の普及で苦戦が目立ち、13年1~3月では個人向け需要が前年同期比で2割減となった。
市場の停滞に加えて、円安ドル高による製品や部材のコスト増により値上げに踏み切る動きも出ている。NECパーソナルコンピュータが夏モデルで想定価格を昨年秋冬モデルより5000~1万円ほど引き上げたほか、米アップルも約6~18%パソコン価格を値上げした。
需要の呼び戻しのため、各社はパソコンの多様な使い勝手をアピールするほか、堅調な法人需要の開拓にも手を打つ。
東芝は「ダイナブック」シリーズで4機種(想定価格12万円前後~22万円前後)発売し、全機種でタッチパネルを採用した。
また、法人向けでトップシェアのパナソニックは、「レッツノート」の新製品「AX3」シリーズ10機種(想定価格22万円前後~26万円前後)を投入。来年4月にサポートが終了する「ウィンドウズXP」の置き換え需要などに期待を寄せる。