トランプ米大統領が日本との自動車貿易を不公平と批判したことに対して、日本の自動車メーカーの間には戸惑いが広がった。日本からの対米自動車輸出には2.5%の関税があるものの、米国からの対日輸出の関税は既にゼロで、やり玉に挙げられる根拠に乏しいからだ。
「日本では米国の自動車に関税は全くない。関税以外の部分でも日本車と何ら差別的な取り扱いはしていない」。世耕弘成経済産業相は24日、トランプ氏の批判に対する政府見解をこう述べ、米国に理解を求めた。
23日に米国の企業経営者と会談したトランプ氏は、不公正貿易の例として日本の自動車市場に言及し、日本側に対応を迫る考えを表明した。批判の念頭にあるとみられるのが、米国からの対日自動車輸出の少なさだ。
日本の財務省の貿易統計によると、2015年の米国から日本への自動車輸出台数は2万1000台超。一方、日本から米国への輸出は162万5000台弱と、圧倒的な差があるためだ。
日本の自動車メーカーは米国向けにデザインを改良したり、燃費を良くしたりするなど、現地の市場で受け入れられるよう努力を重ね、販売を伸ばしてきた。これに対して米自動車メーカーの対日向けは、いまだ日本の道路事情に適さない燃費に劣る中・大型車中心で、国情に合わずに販売が低迷する。ニーズに合ったきめ細かい製品開発力の差が両国の自動車輸出の格差につながっている側面が大きく「時代遅れ」のトランプ氏の批判にどう対処するかが焦点だ。