【米大統領選】日米貿易摩擦が再燃、TPPは離脱か トランプ政権誕生で世界経済に激震走る (2/2ページ)

 さらに通商政策でも“激震”が予想される。共和党は本来は自由貿易を重視するが、トランプ氏は米企業と雇用を守る観点からか、オバマ政権が主導したTPPについて、「就任当日に離脱を宣言する」と主張。ただでさえ合意までが難産だったTPPは一気に漂流することが避けられず、コメ農家など反対派の不満がなおくすぶる日本にも動揺が広がりそうだ。

 トランプ氏は中国などを念頭に各国の不公正貿易にも目を光らせる考えで、日本についても「円安誘導で輸出を促している」と批判。これまで以上に通商摩擦が拡大することが懸念されている。

 資源政策についても、トランプ氏は米石油・石炭産業の復活を掲げており、オバマ政権が批准した地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」について、トランプ氏は離脱すると明言している。パリ協定には中国すら批准して足並みをそろえたが、地球温暖化問題での国際協調も破綻しかねない。

 連邦議会も共和党が下院で多数派を維持することが確実になるなど、主導権を握る見通し。トランプ氏は強固な政権基盤を武器に、日本や各国に対して強硬な主張を展開する可能性が高まった。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは9日に発行した緊急レポートで大統領選結果について、「2016年最大の『まさか』」と驚きを隠さず、日本にも円高リスクが懸念材料となるほか、米国を意識した法人税減税が論じられる可能性があり「財政再建に暗雲を漂わせる」と指摘している。(柿内公輔)