日銀は7日、金融政策の目標をお金の「量」から長短金利とする新たな金融緩和の枠組みを導入した9月の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。3年半の「異次元の金融緩和」の総括的な検証を行い、金融政策を転換したが、長期金利を操作目標とする異例の取り組みをめぐって委員間で、意見の対立があったことが明らかになった。
長期金利の誘導については、ある委員がリーマン・ショック後の欧米の中央銀行を例に「大規模な国債買い入れによってイールドカーブ(国債の利回り曲線)全体に金利低下圧力を加える」と支持。だが、別の委員は、米連邦準備制度理事会(FRB)が1940~50年代に実施した長期金利に上限を設定する施策を例に、「インフレリスクが高まった局面で、短期間に国債保有残高が大幅に増加した」と指摘し、「金利と量の両立は困難」と異論を述べていた。
一方、これまで政策の中心だった「年80兆円の国債買い入れ」は、金利操作のため買い入れは続けるが、数値的な目標から外した。今後は買い入れ額の増減が予想されるが、ある委員からは「買い入れ額の変化自体は政策的なインプリケーション(意味)を持つものではないということをしっかり説明していく必要がある」との指摘もあった。