債務で膨張し、世界を壊す 悲惨な結末しか見えない「中国ゴジラ」の物語 (1/4ページ)


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【日曜経済講座】

 松井秀喜ファンには叱られるかもしれないが、習近平政権下の中国は映画「シン・ゴジラ」のゴジラそっくりだと思った。地球にばらまかれた放射能を存分に吸収して変身、膨張する。世界を破壊しかねない巨大なパワーは米国も加わった多国籍軍をたじろがせる。最後の手段はゴジラ凍結作戦だった。

 「放射能」をドル、「多国籍軍」を国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)、「凍結作戦」を国際ルールに置き換えると、中国ゴジラの物語だ。

 2008年9月のリーマン・ショック後の中国経済の膨張を支えてきたのはドルである。世界恐慌回避のために米連邦準備制度理事会(FRB)は14年までの6年間でドル資金発行量を4倍とし、3兆ドルを追加発行したが、中国人民銀行はその相当額のドルを国有商業銀行などから買い上げ、人民元資金を供給してきた。商業銀行は資金を地方政府主導の不動産開発や国有企業などの設備投資向けに融資してきた。これら固定資産投資に支えられて国内総生産(GDP)は2桁台で伸び、10年には日本のGDPを抜いて世界第2位の経済超大国に躍り出た。

製鉄所などゾンビと化したはずの工場も倒産を免れている