今年は、日銀の金融政策決定会合が開かれた後に為替相場が円高に振れるというパターンが続いている。為替はさまざまな要因で動くため、偶然の一致に映るが、日銀は大規模な金融緩和策を約3年半も続けているのに目標とする2%の物価上昇に手が届かず、政策の手詰まり感が決定会合後の円高につながっているとの見方がある。黒田東彦総裁のもとで導入された日銀の緩和策が「バズーカ」と呼ばれて大幅な円安をもたらしたのは、今や昔の話となってしまったのだろうか-。
追加緩和でも円高進む
今年の決定会合は計8回開催されるが、このうち1月、3月、4月、6月、7月、9月が終了。日銀が追加金融緩和に踏み切ったのは1月と7月で、3月と4月、6月は金融政策を現状維持とした。9月は長期金利と短期金利の操作などを盛り込んだ新たな緩和の枠組みを決めた。ただ、追加緩和があってもなくても、すべて円高に振れている。
1月はマイナス金利政策の導入を決定。当初は円安で反応したが、それもわずか数日だった。マイナス金利政策は金利水準を一段と低下させるとして追加緩和の切り札とされたが、当時は中国経済の減速懸念や原油価格の急落で市場が世界的に混乱していた時期だったこともあり、円安の流れはすぐにかき消された。