8月上旬、米紙ウォールストリート・ジャーナルが、ある米国企業の中国市場からの撤退について、こう“疑惑”を報じた。
「今回の取引の至るところに、政府がかかわった形跡がある」
13億人超を抱える巨大市場からの撤退を決めたのは、スマートフォンを使った米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ。中国で8割超のシェアを握るとされるライバルの滴滴出行(ディーディーチューシン)は8月1日、ウーバーの中国事業を買収すると発表した。だが、ウーバーの本当の壁は滴滴ではなく中国政府だった、と海外の市場関係者は分析する。
ウーバーが撤退を決める直前に、中国政府は配車サービスに関する規制を発表した。配車サービスを合法化する一方で、採算割れとなる営業を禁止する内容だ。シェアが低く、中国市場で赤字が続くウーバーは不利になる。同紙は規制の背景に「おそらくは滴滴へのえこひいきという要素もあった」と指摘した。