【人民元国際化】海外企業の進出熱冷ます中国のえこひいき 自国に有利な規制…遠のく世界の信認 (2/4ページ)

 こうした中国政府の恣意(しい)的な関与は、通貨でも同様だ。人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨となったが、その前提だった人民元改革の動きは鈍い。為替相場への介入や、海外への資金移動規制などは残ったままだ。自国の利益のみを追求する中国の姿勢は、日本企業のビジネスにも影を落としつつある。

 撤退ルール整備要望

 上海浦東国際空港から車で40分。外資系のハイテク産業が立地する上海浦東開発区に、NTTコミュニケーションズの「上海プードンデータセンター」がそびえ立つ。延べ床面積6500平方メートル、鉄筋3階建ての最新のデータセンターとして稼働するはずだったが「入居者がいないマンション状態」(NTT関係者)でほぼ2年が経過した。

 NTTコムは現地資本と合弁しないデータセンター事業を計画し、当局も容認する姿勢だったが、中国政府の急な方針転換で頓挫した。同社は合弁相手の選定を急いでいるが、まだ決まっていない。

エスビー食品は昨年、中国でカレールーなどの現地生産を取りやめ