【人民元国際化】海外企業の進出熱冷ます中国のえこひいき 自国に有利な規制…遠のく世界の信認 (4/4ページ)

 「天井が高いな。(空調に)お金がかかるだろうに」

 会場となった杭州国際博覧センターは、総床面積84万平方メートルと世界第2位の規模を持つ。議長国・中国が、威信をかけて建設した大型施設だ。安倍首相は「日本の空調技術を使えば、高さのある空間でも効率的に、快適な温度調整ができるのではないか」と続けたという。

 今後縮小・撤退10.5%

 国内総生産(GDP)世界2位の大国として振る舞う中国だが、日本をはじめとする海外から見れば改善すべき問題が山積している。それは人口13億人の巨大市場におけるビジネス環境の整備や、SDR入りに伴う人民元の国際化も同様だ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた2015年度の進出企業実態調査によると、今後1~2年のうちに中国事業を「縮小」または「移転・撤退」すると答えた企業は全体の10.5%にあたる91社となり、前年度調査に比べ3ポイント増えた。投資や輸出に依存した経済成長の限界が指摘される中、いかに国際的な信認を得るか。大国・中国の果たすべき責任が問われる。

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 この企画は上海 河崎真澄、ワシントン 小雲規生、三塚聖平、田村龍彦が担当しました。