【社説で経済を読む】「豊洲」が教える地方自治の機能不全 東京以外にも“伏魔殿”が… (4/4ページ)

 それにしても肥大した官僚組織は恐ろしい。とりわけ首都・東京は17万人近い職員を抱え、巨大組織特有の無責任体質が改めて指摘されている。盛り土を担当する土木部門と建物を担当する建築部門で相互の調整が行われていなかったことも、今回の問題発覚で明らかになった。

 年間予算は14兆円近くあり、スウェーデンの国家予算などとほぼ同じ規模になる。都道府県で唯一、地方交付税を受けていない財政の“余裕”も予算執行をルーズにしていないか。

 豊洲の計画策定時期にトップだったとして、自身の責任も問われる形となった石原慎太郎元知事は今回の問題で、「東京都は伏魔殿だね」と述べた。

 官僚機構の“暴走”を許してきた点では都議会も同罪だ。産経は9月14日付主張(社説)で「移転を了承した都議会が、こうした都の動きについて何らチェックできなかったのだとすれば、巨大都市の議会として統治能力を失っているのではないか」と指摘したが、問題は東京都に限らない。地方再生が叫ばれる中で、議会の在り方を含め、地方自治の根幹が問われている。