【社説で経済を読む】「豊洲」が教える地方自治の機能不全 東京以外にも“伏魔殿”が… (3/4ページ)

 再開された専門家会議で見直した結果、仮に工事のやり直しが必要という事態にでもなれば、さらに工費は膨張する。移転費用がかさむ業者からは補償を求める声も上がっている。補償額は1日当たり700万円になるとの試算もある。

 築地市場では東日本を中心に年間100万トン、6000億円相当の水産物や青果物が取引されているが、老朽化と手狭さが深刻な問題だ。それが豊洲移転の契機ともなった。その点でも早急な対応が必要だ。

 2020年の東京五輪・パラリンピックへの影響も気がかりだ。昨年は2000万人近い外国人観光客が訪れ、東京に世界の関心が集まりつつある。なかでも築地市場は観光スポットとして人気だ。

 その移転先である新たな都民の台所で安全性が疑われるようなら、日本そのもののイメージダウンにつながりかねない。

 「都庁は伏魔殿」

 築地の跡地で予定されている幹線道路の整備が東京五輪に間に合うのかという懸念も強まっている。選手村や競技会場と都心を結ぶアクセス道路だ。混乱は多方面にわたっており、収拾は容易ではない。

それにしても肥大した官僚組織は恐ろしい