【社説で経済を読む】「豊洲」が教える地方自治の機能不全 東京以外にも“伏魔殿”が… (2/4ページ)

 責任者は不明のまま

 しかし、事態発覚から1カ月以上もたつというのに、誰が提言と異なる計画への変更を認め、工事のゴーサインを出した最終責任者は誰なのかなど、肝心な部分はいまだに不明なままだ。

 「都民ファースト」を公約に掲げてきた小池百合子知事は、徹底した情報公開を約束している。だが9月末の最終報告でも、疑問は残ったままだ。

 当初、11月7日とされていた新市場移転は、とりあえずの措置として最終の水質検査結果が出る来年1月以降に延期されたが、さらに遅れる可能性がある。

 小池知事は、土壌汚染対策の専門家会議を再度立ち上げるとともに、それとは別に豊洲市場の調査チームを設け、事業費の妥当性を含めた決定過程の徹底検証に乗り出した。調査結果を基に、今後どういう対策が必要か、可能な限り早く方針を示してほしい。

 豊洲市場の事業費は5年前に3900億円だったものが、現時点では5900億円近くに膨らんでいる。土壌汚染対策費も当初の586億円から858億円に増えた。

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