一方、日銀が導入する新たな枠組みは、デフレ脱却まで長期金利がゼロ%程度で推移するよう国債を買い入れるものだ。政府からみれば、低い金利で国債を発行して資金を調達できるため、増発で歳出が拡大し財政規律が緩む恐れがある。
一般的に財政が悪化して国債発行が増えた場合、長期金利が上昇し、“財政不安のシグナル”となるとされる。しかし金利の操作で、その仕組みも働かなくなりかねない。
対露経済協力てこに
政府・与党内で来年1月の通常国会冒頭で衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が浮上する中、3次補正の編成も取り沙汰されるようになってきた。
安倍首相は12月にロシアのプーチン大統領を山口県に招き首脳会談を行うが、対露経済協力をてこに北方領土返還交渉を進展させ、成果を総選挙でアピールするとの観測がある。経済協力には財政措置が必要となる見通しで、3次補正の柱となる可能性がある。
財務省幹部は「現状のものは、すべて2次補正予算に組み込まれている」と牽制(けんせい)するが、拡張財政が続く中、新たな補正編成のハードルは低くなっている。(中村智隆)