【日曜経済講座】
政府はこのほど平成28年度第2次補正予算案を決定し、積極財政へとかじを切った。消費税増税に伴う後遺症が薄らぎ始めた景気をさらに後押しするはずだが、油断は禁物だ。円高基調である。円高は給与を減らす元凶なのだ。
米オバマ政権は円高・ドル安について、機会があるたびに、市場実勢を反映していると強調する。「自由な変動相場制」という建前なのだが、外国為替市場は米国にとって有利な仕組みになっている。
米国は国際金融の胴元であり、外為市場への影響力は他を圧倒する。世界の基軸通貨ドルが尺度であるニューヨーク市場に世界の余剰資金を集中させられるからだ。
政治力も付随する。ワシントンは米国の産業界にとって不利なドル高水準になれば、「市場原理」を脇に押しやって、他の主要国に対ドル相場を上昇させるよう仕向ける。1985年9月のドル高是正のための国際協調「プラザ合意」が典型例である。