さくらリポート 4地域「個人消費」を下方修正 円高・株安で逆資産効果

2016.7.8 05:00

 日銀は7日、7月の「地域経済報告」(さくらリポート)を公表した。急ピッチの円高・株安で、全国9地域のうち中国と九州・沖縄の2地域が3年半ぶりに景気判断を引き下げたほか、項目別では東北など4地域が「個人消費」を下方修正。保有資産の目減りで消費を抑制する「逆資産効果」が景気に悪影響を及ぼし始めた。

 九州・沖縄は、熊本地震による観光産業や個人消費の落ち込みが響き、景気判断から「回復」という文字を外した。1地域でも「回復」「拡大」の表現が使われなくなったのは11四半期ぶりだ。

 中国は、燃費不正問題で三菱自動車の水島製作所(岡山県)が生産を停止した影響が出たとみられる。

 項目別では、関東甲信越、東海、近畿の3地域が「住宅投資」の判断を上方修正。「マイナス金利政策による住宅ローンの金利低下が購入を後押ししたという声が聞かれた」(調査統計局)という。

 一方、「個人消費」の判断を引き下げたのは、東北▽関東甲信越▽中国▽九州・沖縄-の4地域。日銀は「都市圏の百貨店や専門店では、株安による逆資産効果で高所得層の支出が弱まっている」(同)と説明。円高も中国人観光客の「爆買い」にブレーキをかけた。

 日銀の本支店からは「1本10万円を超える高級ワインの注文が減少」(本店)、「高級生ハムやシャンパンなど富裕層向け商品の売り上げが目立って減少」(神戸)、「外国人客の免税販売は高額品から日用品にシフトし、客単価が下がっている」(札幌、名古屋など)との声が上がった。

 円高・株安は経営者の心理にも悪影響を及ぼしており、宮野谷篤・大阪支店長は「関西経済全体としては持ちこたえているが、企業収益の下振れリスクはある」と懸念した。

 英国の欧州連合(EU)離脱問題は今回のリポートではそれほど反映されておらず、円高・株安に拍車が掛かれば、先行きへの不安心理が強まる懸念もある。

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