日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の3月調査と同じプラス6だった。円高進行による輸出企業の収益圧迫から悪化が予想されていたが、輸入原材料の価格低下などで悪影響を打ち消す形となった。
ただ、英国の欧州連合(EU)離脱決定後の円高は織り込まれておらず、企業の景況感や設備投資計画は下振れリスクが高まっているといえそうだ。市場からは日銀の追加の金融緩和期待が高まっている。
◆「実態はもっと悪い」
業況判断DIは、景況感が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いた値。
大企業の業況判断DIを業種別にみると、円高による輸出への悪影響を警戒する生産用機械や業務用機械、円高で訪日外国人観光客による消費の勢いが足元でやや鈍化している小売りなど、全28業種中14業種が悪化した。ニッセイ基礎研究所の櫨浩一氏は「業況判断指数は英国離脱決定前の数字。実態は額面よりももっと悪い」と指摘する。