国際的な課税逃れ対策を協議する経済協力開発機構(OECD)の租税委員会が30日、京都市で開幕した。多国籍企業の課税逃れ防止策への参加国を現行の46カ国から100カ国以上に拡大する見通しとなったほか、対策に非協力的な国を特定する3つの基準を策定。新興国や途上国も巻き込んで税の抜け穴をふさぎ「パナマ文書問題」で関心が高まった課税逃れ対策の実効性を高める。
日本からはOECD租税委の議長を務める浅川雅嗣財務官のほか麻生太郎財務相が出席した。麻生氏は会合後の会見で「国家主権の中核である課税権で国際協調が進んだ点で特別な意義がある」と述べた。
OECDは策定した基準をもとに、課税逃れ対策に非協力的な国を名指しする「ブラックリスト」を来年にもつくり、制裁を科すことを含め検討する。
だが、一方で課税逃れの国際協調を乱しかねない火種もくすぶる。策定した3つの基準をすべて満たさなくても2つ満たせば、非協力国としてブラックリストに載らずに済む玉虫色のルールとなったためだ。