英国の欧州連合(EU)離脱決定後の円高・株安を受け、日銀が7月28~29日の金融政策決定会合で追加金融緩和に踏み切るとの観測が金融市場で急速に高まっている。1ドル=100円の円高水準が続くと輸出企業の収益が悪化し、デフレ心理が再燃する恐れがあるからだ。「100円の壁」を再び突破すれば、日銀が臨時の決定会合を開くとの見方もくすぶる。
「1ドル=100円の場合、上場企業・製造業の経常利益は約2兆4600億円押し下げられる」
SMBC日興証券はこんな試算を出した。円高が進めば企業は投資や賃上げをますます抑制し、個人消費の回復も遅れてしまう。その結果、日銀が掲げる「平成29年度中」の2%物価目標の達成は遠のく。
実際、バークレイズ証券は英国の国民投票前の時点で「残留」を想定し、29年度の消費者物価(生鮮食品を除く)上昇率を前年度比1.1%と予想したが、離脱決定を受け0.6%に下方修正した。
急ピッチの円高に対し、政府は為替介入をちらつかせた。だが、ルー米財務長官は27日のテレビ番組で「無秩序な動き」には当たらないとの見解を示した。市場では、日本政府の介入を牽制(けんせい)したと受け止められ、介入に代わって追加緩和観測が高まった。一部の外資系証券は日銀が臨時会合を開くこともあり得るとみる。