政府・日銀は29日午前、英国の欧州連合(EU)離脱問題への対応策を協議する緊急会合を首相官邸で開いた。緊急会合は27日に続き2回目で、安倍晋三首相と麻生太郎財務相、日銀の黒田東彦総裁らが出席。首相は会合で、「市場にリスク懸念が残る中、市場安定に全力を尽くすという強い意志を発信し続けることが重要だ」と話した。
首相は英国のEU離脱が決まり「緊急会合などで経済・金融面での対応に万全を期してきた」と強調。24日に先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が出した声明で「市場に安心感を与えられた」と語った。
ただ「世界経済の成長へのリスクの1つ」として、「日本の実体経済、とりわけ中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と強調した。
その上で麻生氏に「日銀やG7と連携し経済・金融面の必要な対応を機動的に取ってほしい」と指示。日銀には「英国進出企業が安心し活動できるよう潤沢な資金供給で金融仲介機能を支えてほしい」と求めた。
会合後、麻生氏は記者団に「短期的に市場は落ち着いているが、中長期的な影響はこれからだ」との認識を示した。黒田氏は「現時点で日銀は十分な外貨資金を供給しており、問題は生じていない」と話した。