日銀が「マイナス金利」を深掘りしにくいとみなされるのは、金融機関の猛反発があるからだ。三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は13日に自ら財務省に出向き、国債入札に有利な条件で参加できる特別資格を返上すると伝えた。「日銀のマイナス金利に反旗を翻した」と受け止められたが、有識者からは「銀行は既得権に甘えず、貸し出しを増やす努力をすべきだ」との注文も出始めた。
「現在0.1%のマイナス金利幅は我慢するが、深掘りはやめてほしかった」
三菱UFJ幹部は、国債入札の特別資格返上に関し、追加の金融緩和を牽制(けんせい)する狙いもあったことを認める。早ければ6月末にも特別資格メンバーから外れる見通しだ。
銀行業界の関係者によると、日銀は4月の金融政策決定会合で、将来のマイナス金利深掘りに備え、銀行への貸し出しにマイナス金利を適用する追加緩和策を模索。日銀からお金を借りれば利息をもらえるため、収益悪化が和らぐという案だ。
ただ、日銀から内々に打診を受けた大手銀幹部は「銀行も貸出先に利息を払わなければならず、利ざや縮小に拍車が掛かる」と嫌がったため、導入は見送られた。三菱UFJの小山田氏も「金融機関にとって厳しい話」と疑問視する。