日銀は16日の金融政策決定会合で4月に続き、追加の金融緩和を見送った。経済指標の悪化や、外為市場での円高ドル安など、日本経済にとって“逆風”が続くだけに、市場では追加緩和の期待が根強かった。だが日銀は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見送りに加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題への懸念から、追加緩和に踏み切っても効果は薄いと判断したもようだ。(飯田耕司)
「物価の基調は着実に高まっており、平成29年度中の物価目標2%に向けて上昇率を高めていく」
日銀の黒田東彦総裁は16日の会見でも強気の姿勢を貫いた。「住宅ローン金利の低下で、住宅着工が4月まで4カ月連続で回復した」(日銀幹部)ことに加え、企業の設備投資や収益も高水準で推移しており、徐々に物価上昇にも波及するとみているからだ。
ただ、4月の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率は2カ月連続でマイナス圏となり、日銀も個人消費について「一部に弱めの動きがみられる」と、慎重な姿勢を崩していない。このため、市場では「追加緩和をしたくても、踏み切れない状況だった」との見方が根強い。