環境省は23日、国立公園への外国人旅行者の誘致策を検討する有識者会議の初会合を開いた。宿泊施設の整備や質の高いガイドの育成などを通じて観光地としての魅力を高める方針で、今夏にも全国32カ所の国立公園からモデル事業を実施する5カ所を選ぶ。地震からの復興を目指す「阿蘇くじゅう(熊本、大分)」などが候補に挙がっている。
モデル事業では、海外の富裕層をひき付けるため大型商業施設を誘致できるよう施設の設置基準の見直しを検討するほか、地元関係者と協力して外国人向けツアーの開発などを進める。
丸川珠代環境相は会合で「わが国の国立公園には、優れた自然だけでなく伝統文化や食にも触れられる特徴がある」と指摘した。
実施地域をめぐっては丸川氏が3月に視察した阿寒(北海道)、欧米人の利用者が多い日光(栃木、群馬、福島)や山陰海岸(京都、兵庫、鳥取)なども有力視される。5カ所で成功すれば他の地域にも広げる。国立公園への外国人旅行者の誘致は、政府が19日に素案を示した新成長戦略にも盛り込まれた。年間利用者数を現在の約430万人から平成32年までに1千万人に増やすのが目標だ。