西川公也農林水産相の辞任は、平成27年度予算案の国会審議や、大詰めを迎えている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への影響を最小限に抑えたいとする安倍晋三首相の意向と、西川氏本人も職務を続けるのは難しいという判断が合致しての結果だった。農協改革案が9日にまとまった上、衆院予算委員会での首相出席が23日でひとまず終わることが辞任のタイミングとなったようだ。(水内茂幸)
「国民から十分に納得をいただいていないのも事実だ」
首相は23日午後の衆院予算委員会で、西川氏の政治資金問題への説明についてこう強調した。
西川氏の辞表提出は同委終了直後だが、段取りはすでにでき上がっていた。
政府関係者によると、首相が西川氏辞任に動き出したのは先週後半だった。
毎日新聞が17日付朝刊で、西川氏の政党支部が砂糖業界の関係会社からTPP交渉の開始直前に100万円の寄付を受けていたと報じた。砂糖はTPP交渉で日本が関税撤廃の例外に求める「重要5分野」の一つであることから、利害関係者からの寄付になる。
木材加工会社からの寄付についても「300万円という額は大きすぎた」(自民党幹部)ことから、「もう一つ何かが出たら完全にアウト」(別の同党幹部)という空気が政府・与党内に出てきた。