日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉で、目標とする年内の大筋合意に暗雲が漂っている。同EPAの交渉会合は23日、ブリュッセルで開幕。27日までの日程で膠着状態にある関税協議で打開策を探るが、EUが要求する日本の鉄道などの機材調達市場の開放なども難題となっており、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と並ぶ日本の通商戦略の柱は厳しい交渉を迫られている。(本田誠)
「年内の大筋合意を目指して協議するが、簡単ではない」。日本の交渉筋はEUとのEPA交渉についてこう述べ、越年の可能性を示唆する。
日本はこれまでの交渉で、EUが日本製の乗用車にかける関税(10%)や家電の関税(14%)など工業製品の関税撤廃を要求。これに対し、EUは日本のEU産ワインに対する関税(輸入価格の15%か、1リットル当たり125円)やチーズ、肉類など農産品の関税撤廃を主張し、双方の溝は埋まっていない。
交渉の難航は非関税分野も同様だ。
EUは昨年12月の交渉会合に先立ち、日本の「非関税障壁」とみなす自動車や食品の安全などに関する規制緩和を中心に約40項目にわたる追加要求を提示。日本は慎重に対応する姿勢を崩していない。
今後の交渉で大きな“ハードル”となりそうなのが日本の鉄道や電力、ガス分野の機材調達市場の開放をめぐる協議だ。