■“実力”上回る株価
1日には株高も進んで日経平均株価は一時1万7600円台を回復した。
第一生命経済研究所の嶌峰義清・首席エコノミストは「円安は株価にはポジティブに働く。衆院選では与党が安定多数を維持できる見通しのため、1万8000円台も見えてくる」と分析する。
10月の全国消費者物価指数(生鮮食品と消費税増税の影響を除く)の伸び率は前年同月比0・9%と1年ぶりに1%を割り込んだ。このため、市場関係者の間で「日銀は、2%の物価目標に向けてさらなる追加の金融緩和に踏み切る」との期待感が膨らんだことも株高を後押ししたようだ。
ただ、急激な円安によってドル建ての日経平均株価は、日銀の追加緩和後もほとんど変化していない。ドル建てで日本株の運用収益を計算する海外投資家はまだ慎重姿勢とみられる。
輸出企業の円建て収益は大きく膨らんでいるが、現地通貨建ての海外売上高はそれほど伸びていない。このため、三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「現在の株価は日本企業の“実力”を上回っている」と分析する。