【TVスクエア】
アフリカ・ケニアのアンボセリ国立公園に、伝説的なゾウがいる。その名は「エコー」。30年以上もリーダーとして群れを率い続けてきた経験豊かなメスのゾウだ。
優秀なリーダー
巨体ゆえに天敵はほとんどいないものの、群れは水も食べ物も大量に必要とする。平穏な時はいいが、生んだばかりの赤ちゃんゾウがライオンに狙われたり、干ばつが訪れたときには、群れのリーダーがそれを乗り切る術をどれだけ備えているかが群れの運命を決める。
エコーはとびきり優れたリーダーだ。干魃(かんばつ)のときに群れをどこへ率いたらいいか、豊富な経験と記憶が教えてくれる。しかしエコーのような思慮深いリーダーのいない群れは、食べ物を求めて人間の畑に入ってしまう。人も生きるために必死で作っている畑を根こそぎやられたら、相手が誰であれ、放っておくことはできない。報復のためにゾウが傷つけられ、殺される。しかしゾウの住む地に畑を作ったのは人間なのだ。どちらが悪いともいえない状況で、ゾウを守るため、愛護団体は共存の道を探す。