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【アラスカの大地から】ベニザケ帰郷に「巨大」な試練 (1/3ページ)

2014.8.11 16:15

サケを餌とする海岸沿いのヒグマは、内陸部の個体よりも大きな体をしている=2011年7月12日、米アラスカ州(松本紀生さん撮影)

サケを餌とする海岸沿いのヒグマは、内陸部の個体よりも大きな体をしている=2011年7月12日、米アラスカ州(松本紀生さん撮影)【拡大】

  • 遡上するベニザケで沸き立つ川。奥にはヒグマの母子の姿が見える=2011年7月12日、米アラスカ州(松本紀生さん撮影)
  • 川を埋め尽くすベニザケの群れ。1~3年の外遊回遊を終え、生まれた川に帰ってきた=2011年7月12日、米アラスカ州(松本紀生さん撮影)
  • 米アラスカ州
  • 写真家、松本紀生さん=2013年7月10日、米アラスカ州(本人提供)

 川が沸騰しているかのようだった。バシャバシャと激しく上がる水しぶきで、川面全体が沸き立っていたのだ。着火の主は無数のベニザケだった。

 アラスカ南西部に位置するアラスカ半島。海と緑に囲まれたこの一画に、サケたちであふれかえる川がある。

 幅はわずか5メートルほど。水深は数カ所の深みを除くと20センチ前後だろうか。水はもちろん、これ以上ないほど清らかに透き通っている。

 満潮の2時間ほど前になると海と川の境目にサケが集まり始める。海から川へ押し寄せる潮に乗って、浅い河口を遡(さかのぼ)るためである。

 もう海は魚群で埋め尽くされている。おびただしい数のベニザケたちが遡上(そじょう)のときを今か今かと待ち構えているのだ。浅瀬で行き詰まるサケの群れを目がけて、アザラシが弾丸のように突進していく。これほど捕らえやすい獲物も珍しいだろう。

野生の本能 川を沸き上がらせる

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