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【タイガ-生命の森へ-】猟師と動物たちの「庭」 (1/4ページ)

2014.10.6 17:20

ウスリータイガを風のように歩くウデヘの猟師、ヤコフ・カンチュガ=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)

ウスリータイガを風のように歩くウデヘの猟師、ヤコフ・カンチュガ=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)【拡大】

  • ビキン川で捕れたサケを干す。魚が遡上できる川あってこその風景だ=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 生サケは手際よく切り分けられスープや焼き物に=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 頭もむだにしない。鼻先やゼラチン質の氷頭(ひず)はごちそうである=2013年10月5日、ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • 軒下の唐辛子が秋の深まりを告げる=ロシア・クラスヌィ・ヤール村(伊藤健次さん撮影)
  • ロシア・クラスヌィ・ヤール村

 ウデヘの猟師は足が速い。ウスリータイガから北海道へ戻って野山を歩いていても、ふと、手負いにしたイノシシを追って森を走る猟師の姿を思い出す。

 以前ビキン川を案内してくれたヤコフ・カンチュガは、60歳を過ぎても風のように早足で森を歩いた。何しろ身軽だ。使い込んだ銃を担ぎ、ナイフを腰に差すだけで、余計な物を持たない。後ろをついていくのが一苦労だった。決して体が大きいわけではないのだが、藪(やぶ)の中を進む背中がとても頼もしく見えたものだ。

 広大なタイガには縦横無尽に踏み分け道がある。こんな奥にと驚く上流の森に、巨木の間を縫って細い道が続いている。それはクロテンのワナ猟師が歩いた古くからの道だったり、シカやイノシシ、あるいはトラさえ今も歩く獣道(けものみち)である。

 秋、シダと黄葉した灌木(かんぼく)の迷路をたどると、エゾマツの松やにに黒い針のような毛がくっついている。イノシシが体を擦りつけた跡だ。シカが休む木の根元にはチョコレートに似たフンの粒。森の主のような立派なチョウセンゴヨウの木肌には、これ見よがしにトラの爪痕が残っている。そうして動物たちの置き手紙を読みつつ藪を抜けると突然、細い流れのほとりに、色あせて森になじんだ狩小屋が現れるのだ。

こんな風景がいつまでも続いてほしい

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