【国際情勢分析】
欧米が7月末に導入を決めた経済制裁が、ロシアの石油業界を苦しめている。西シベリアの既存油田が枯渇するなか、制裁対象となった北極圏やシェールオイル開発が、生産量維持で死活的に重要なためだ。ウラジーミル・プーチン大統領(62)は石油生産量の維持を国家目標に掲げているが、制裁が長期化すればその達成が困難になる。
開発技術供与を禁止
7月29日、欧州連合(EU)と米国は相次ぎ、ロシアの石油分野を標的にした制裁導入を決めた。EUは、圏内企業によるロシアへの深海や北極海での油田開発、シェールオイル開発のための設備、技術供与を禁止した。米国も、石油掘削や油田開発に用いる機器、技術の輸出を禁じた。米国はそれに先立ち、ロシア石油生産最大手の国営ロスネフチなどに対し、米国での資金調達を制限する制裁を導入していた。