【国際情勢分析】
ウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜事件はバラク・オバマ米大統領(52)の外交姿勢への「警鐘」となるのだろうか。制裁の逐次強化がロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)の行動パターンを変えられなかったのと同じように、残念ながらオバマ氏の思考様式や行動原理も容易には変わらないと断じざるを得ない。
危機に関わらぬ外交
オバマ氏はこのところ、手紙をもらった庶民と会うため米国の各地を回っている。11月の中間選挙に向け、中間層を重視する姿勢をアピールするためだ。民主党が選挙戦に使う資金集めも兼ねている。西海岸を訪問中の7月24日に訪れたロサンゼルスの食堂には、朝食をとる客に気さくに声をかけるオバマ氏を醒めた目で見つめる主婦がいた。
「大統領にはもうちょっと外交政策にも取り組んでもらいたいね。いろいろやることがあるのは分かっているけど」
アリソン・パウエルさん(46)は他の客と趣味のバスケットボールの話題で盛り上がるオバマ氏を見つめながら、同行記者にこうつぶやいた。特にロシアとウクライナの情勢が気がかりだという。