今年5月の外交演説で自らが敷いた路線を忠実になぞっているのは明らかだ。オバマ氏は軍事よりも外交を重視することを鮮明にしたこの演説で「制裁と孤立」を外交政策の基軸に据える考えを示していた。制裁を加えることにより、ロシアを孤立させることに主眼を置いてきた。ロシアに一定の圧力がかかったことは間違いない。
ただ、同じ外交演説で掲げた「同盟国などとの集団的行動」に成功していないのは明らかだ。制裁の拡大に当たり、米国はまず自ら率先してメニューを提示し、欧州諸国がそれに呼応するケースが多かった。これではプーチン氏が意図する「米欧分断」を印象づける結果しか生み出さない。
新秩序見えず
「制裁は素早く効果的でなければならない。段階的拡大の理論は捨て去り、本当の痛みを与えることだ」