乗客乗員298人全員が死亡する大惨事に至り、米メディアは「オバマ外交」に対する批判のトーンを強めている。
オバマ氏が(7月)21日、撃墜事件の調査に非協力的なプーチン氏を「ウクライナの主権を侵害し、親露派の支援を続ければさらに孤立し、代償は高くなり続ける」と批判した後に西海岸に出かけたことについて、ワシントン・ポスト紙は7月25日付の社説で次のように指摘した。
「大統領は寄付集めの政治活動を脇に置いてまで危機に関わりを持たない-。これがプーチン氏へのメッセージとなった」
「米欧分断」印象づける
オバマ氏がプーチン政権に対して宥和(ゆうわ)的であるわけではない。今年3月にウクライナ南部クリミア半島を併合したロシアに対し、オバマ政権は制裁措置を次々と強化してきた。ロシア経済に打撃を与えるため、(7月)16日には国営石油企業ロスネフチ、国営天然ガス企業ガスプロム傘下の銀行ガスプロムバンクなどエネルギー、金融の大手企業4社を対象とする最大規模の制裁に踏み切った。基幹産業全体を対象とする「部門制裁」も視野に入れ、及び腰の欧州の尻を叩く。