読者の多くはここで疑問を持つだろう。確かに株高は投資家にとっては喜ばしいが、私たちが生活する実体経済をどれだけよくするのか、と。とりわけ、金融資産をため込むだけのゆとりのない一般の勤労者にとっては株式投資どころではない。
リーマン・ショック当時のGDPと株価をそれぞれ100として、株価が100上がった場合の実質GDPがどれだけ上昇してきたか、日米の最近の2年間について筆者が試算してみると、米国は15前後で推移し、日本は3~7の幅で動いている。米国はリーマン後、連邦準備制度理事会(FRB)がおカネの発行量を6年間で4倍以上増やして、株価を上昇させて景気を回復軌道に乗せた。
日本の株高による景気押し上げ効果は米国に比べてかなり見劣りするものの、それなりに効き目がある。日銀がおカネを刷って、金融市場に流し込んで円安・株高に誘導し、景気をよくするという手法は弱いとはいえ、有効には違いないようだ。