自動車大手4社が25日、一斉に新車発表を行った。燃費性能の向上や新グレードの設定、人気車種の復活など、各社の戦略はさまざまだが、同じ日に4社が新車発表を行うのは異例だ。4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減で、自動車各社は新規受注が伸び悩んでいる。異例の一斉発表は、販売拡大に向けた自動車各社の危機感の表れといえそうだ。(飯田耕司)
この日、一部改良も含めた新型車を発表したのは、富士重工業▽スズキ▽トヨタ自動車▽独フォルクスワーゲン(VW)-の4社。軽自動車を含めた7月の国内新車販売台数は、前年同月比2・5%減の46万260台と、2カ月ぶりに前年実績を下回っている。「強力な商品を出して国内市場を盛り上げて拡販に努めたい」(スズキ)というのが各社の本音だ。
富士重工業は最上級のスポーツセダン「スバルWRX」を全面改良した。300馬力の高出力を維持しつつ、ガソリン1リットル当たりの燃費性能が13・2キロのエコカー減税対象車となった新グレード「S4」を設定した。日月(たちもり)丈志専務執行役員は「顧客の間口を広げる」と述べ、モータースポーツで戦える性能と日常のドライブの楽しさを両立し、販売の落ち込みを最小限に防ぐ考えだ。
一方、スズキは、主力の軽自動車「ワゴンR」のハイブリッド車(HV)を発表した。加速時にモーターがアシストするハイブリッド技術を上位モデルに搭載した。燃費性能は従来比8%増の32・4キロと、ワゴンタイプの軽では首位だ。開発者の鈴木直樹第一カーライン長は、「主力車の燃費向上で他社との競争に打ち勝ちたい」と意気込んだ。