国家の経済力の国際評価基準であるドル建てで日中のGDP(名目)を比較してみればよい。「萎縮する日本、膨張する中国」というトレンドは、アベノミクス開始後むしろ強くなっている。
世界銀行統計によると、2013年の日本は4・9兆ドル、前年比で17%減、対する中国は9・2兆ドル、同12%増と、日本との差をさらに広げている。今年は前半のGDP速報値から推計すると、日本が前年比0・2%減、中国9%増である。
「バブル崩壊」は発達した金融市場を持つ国で起きる。不動産価格が急落を続ける結果、金融機関の不良債権が膨れ上がって信用不安が起り、金融の流れが急激に萎縮して国内経済が大不況に陥る。中国の場合、共産党の支配下にある中国人民銀行が4兆ドルもの外貨資産を担保に人民元資金を発行し、金融機関に資金を流す。あるいは、緊急事態には党指令で、問題金融機関にドルを資本注入できる。日本のバブル崩壊期の「飛ばし」が国家的規模で行われる可能性が高いし、これまででも、飛ばされた巨額の不良債権は経済膨張のプロセスの中で、もみ消されてきた。