「トランプ相場」どこまで続く 円安・株高一段と進む

 

 金融市場で、トランプ次期米大統領の経済政策への期待を背景とした「トランプ相場」が続いている。週明け14日の東京市場では円安・株高が一段と進行。円相場は一時1ドル=107円台後半と約5カ月ぶりの円安ドル高水準となり、日経平均株価は3営業日続伸して約9カ月半ぶりの高値水準で終えた。ただ、米長期金利の上昇やドル高のあおりで新興国では通貨や株価が下落している国もあり、先行きに注意が必要とみる市場関係者も少なくない。

 トランプ氏の経済政策への期待が続き、前週末11日の米ダウ工業株30種平均は連日で過去最高値を更新。14日の東京市場もこの流れを引き継いだほか、日本の7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値が市場予想を上回ったことも下支えとなり、株式の買いが優勢となった。平均株価の終値は前週末比297円83銭高の1万7672円62銭で、米大統領選の勝敗が伝わる前の8日終値を501円上回っている。

 外国為替市場ではドル買いが一段と加速。トランプ氏の景気刺激策が実現すれば米財政赤字が膨らむとの懸念から米長期金利が大幅上昇する一方、日本の長期金利は日銀の金融政策の影響でゼロ%程度に事実上固定されており、日米金利差が広がりやすいためだ。

 現状ではトランプ氏が掲げる大規模減税やインフラ投資などに注目が集まっており、野村証券の木下智夫氏は「トランプ氏の経済政策のプラス面は織り込んでいるが、マイナス面はそれほどではない」と語る。今後、保護主義的な姿勢が改めて示されるなどすれば、金融市場がリスク回避に動く恐れもある。

 三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「最近の株高基調は期待先行の動きで、持続性にはやや疑問符がつく」とみる。米大統領選後は、隣国のメキシコだけでなく、ブラジルや南アフリカなどでも通貨が大幅下落した。14日のアジア株式市場も、日本や中国を除けば下げが目立った。市川氏は「新興国の通貨安や株安が止まらなければリスク回避の円高に傾き、日本株にもブレーキがかかりかねない」と指摘した。