次男の韓国ロッテ会長に逮捕状請求 横領容疑に「役割が全くなかったとは…」裁判所の判断が焦点
ロッテ裏金疑惑【ソウル=藤本欣也】韓国ロッテグループの裏金疑惑などを捜査するソウル中央地検は26日、創業者、重光武雄(韓国名・辛格浩=シン・ギョクホ)氏(93)の次男で、グループ会長の昭夫(同・辛東彬=ドンビン)氏(61)について、横領、背任容疑で逮捕状を請求した。裁判所側は28日に昭夫氏を召喚して審問を行い、逮捕状発布の可否を判断する予定だ。
昭夫氏には、巨額の裏金作りに関与していた疑惑のほか、(1)M&A(企業の合併・買収)の過程で生じた損失を系列会社に押しつけた背任容疑(2)日本のロッテグループの系列会社に役員として名を連ね、業務の実体がないにもかかわらず、100億ウォン(約9億円)以上の給与を受け取っていた横領容疑-などがある。
20日に検察に出頭した昭夫氏は取り調べに対し、「裏金について知らない」と裏金疑惑を否定、背任の疑いに関しても「経営上の判断によるものだ」と否認した。横領容疑には「(役員としての)役割が全くなかったとはいえない」などと供述したとされる。
検察当局は役員を含む社員約300人から事情聴取。これまでに武雄氏の長女の辛英子(ヨンジャ)ロッテ奨学財団理事長(73)と、ロッテ系列会社の前社長を背任収財などで逮捕、起訴している。
韓国ロッテグループは26日、「逮捕状の請求は残念だ。裁判所が賢明な判断を下すことを期待している」とするコメントを出した。
聯合ニュースは同日、脱税などの疑いがある武雄氏、横領の疑いが持たれている長男の宏之(同・辛東主=ドンジュ)氏(62)については検察は在宅起訴する方針だと伝えた。
報道によると、検察内部には、財閥5位のロッテのトップを逮捕すれば経済への影響も小さくないとして昭夫氏を在宅起訴にすべきだとの意見もあった。しかし今後の財閥捜査であしき前例を残すことになるとの意見などが通り、逮捕状請求に踏み切ったという。
ただ、ロッテの系列会社社長2人に対する検察の逮捕状請求について、裁判所が「逮捕する理由と必要性を認定するのが困難」として棄却したケースもある。
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